MEMO♯047【カノン、頼むから静かにしてくれ 10】

  • 2018年05月02日

●28日、日曜日、稽古でした。駒澤大学で18時~22時。 【鳥】篇の、えーと前回6回目、て書いちゃったけど、たぶん今回が6回目です。メモの数字と合わないから。 テキトーです。すいません。

●早くも衣装が全員分、出来てきました。 お馴染み、小川さん・作のオーダーメイド品。 衣装を貰った俳優ほど嬉しそうな生き物はいない、と思うほど皆喜んでました。 やっぱりね、自分専用というのがいいですよね。 ファストファッションの時代にあって 袖丈とか、裾丈とか、ピタッと自分に合わせられたもの着ることって まあ、なかなかありませんしね。 当然、出来も素晴らしいです。 俳優の存在感が、5割増しくらいでグっと迫って見えます。 本番50日以上も前に衣装が来るのは架空畳史上ないことですから 衣装を生かした演出、というのも考えてみたいですね。 まあ既に、けっこうムチャな動きもね、つけてるんですけどね。 ハハハ。

●稽古のほうは、江花さんが不在だったときにつけたシーンの確認を中心に 新しいシーンの動きも、わーっとつけました。 今回の芝居のモチーフの一つに、ギリシャ悲劇の「アンティゴネ」があるんですけど 昔むかしのお話なんで、まあ、いろいろ整合性のつかないコトが多いんですよね。 主にその整合性のつかない、ヘンな部分をクローズアップしようと思っております。 その「整理のつかなさ」みたいなものを、 俳優の演技体にも入れ込むことは出来ないだろうか、と。 江花さんは、以前は演技がすごくキッカリ・カッチリしていて 100パーセント、ミスのない演技を目指す人の芝居だなって感じでした。 だから私も、戯曲上でも演出上でも、情報を支配して、ほかの人たちを導いたり、ミスリードを狙ったりする、 まあ支配的なポジションを演じて貰ってました。 でも、近年どんどん芝居が変わってきていて、不安定だけど、舞台上のグルーブに飛び込んでゆくような 演技になってきたんですね。 それが妙にヘンテコだったり、グっときたりで、面白いです。 戯曲上でも、振り回す役から、振り回されて翻弄される方に、シフトチェンジしております。 まあ、そのうちまた、支配階級に復帰するかもしれませんが、 そのときは、かつてとは違う何かヘンな支配になるのでしょう。 変わってゆく俳優が好きです。 岩松もアクロバティックな演技が減ってきましたしね。 俳優に身を委ねて、私も変わってゆこうと思います。 ぜんぜん、ダメになっちゃうかもしれませんが。

●稽古終わって、普段は多忙な佐々木さんが、今日は飲めます!というので 皆で渋谷へ。衣装を渡したいから、という口実で アナログスイッチの追い込み稽古に入っている大迫さんも呼びつけたら、 稽古終わりに、ちょこっとだけ合流してくれました。 現れて5秒後くらいには、ドハドハと大笑いしてましたね。 佐々木さんもなみなみのビールに泡継ぎ足してこぼしたりなどして 楽しそうでした。 帰り道、電車の中で大迫さんに戯曲も渡して、ちょっと構造の話などもしたり。 しかしね、芝居かけもちしてる時の 俳優の脳みそってどうなってるんですかね。 作家も演出家も、そりゃ舞台掛け持ちしてる人はいるでしょうが。 私には無理かなー。ノイローゼになりそうです。 今回、【鳥】と【蛇】を同時進行させてるだけで、脳が毎日ふつふつと煮えてますからね。 まあ、狭いキャパシティをめいいっぱい酷使して 舞台に奉仕しようと思います。 それが楽しくてやってるんでね。はい。 ボチボチ、予約のほうもお願いしますね。 では。
(主筆)

MEMO♯048【カノン、頼むから静かにしてくれ 11】

  • 2019年05月03日


●29日、月曜日、稽古でした。九品仏で18時~22時。 【蛇】篇の5回目。30日はお休みだったんで、平成最後の稽古だったんですね。 だからどうってこともなく、粛々とやりましたけどもね。 岩松と江花も来ました。ちょうど江花さんが出てくるシーンを持ってきていたので そこを中心に当たりました。石井田くんも腰痛から復帰。でも無理しないでね、

●ややネタバレですけども、芝居上でちょっと「ラオコーン」像作ってみよっか、となりまして。 川上がラオコーン役なんですけど、画像見ながらああだ、こうだ、とわちゃわちゃして。 なんか、必死になればなるほど笑えますね。 こういうのは凄くまじめにやった方がね、マヌケでよいですね。 こうやって、立像を再現してみると、その嘘に気付きます。 像自体は、一見、リアリズムなんですが。 まずね、パースついてんですよね。 真ん中のラオコーンと、左右にいるその息子のサイズが違いすぎる。 それを誤魔化すように、ラオコーンは台座に乗ってるんですけど そんなちょっぴりの高さの台座で、こんなに飛び出すわけないだろ!ってくらい デカイ、ラオコーン。 左右の人が3メートルくらい後ろにいないと、多分、整合性つきません。 でも、この「嘘のリアリズム」を成立させる「言い訳としての台座」は 台詞と身体、にも当てはまるな、と思いました。 戯曲上でのアクロバットを、舞台上で成立させるための「言い訳としての身体」。 ま、文字で読むとデタラメだけど、俳優がやったら、意外と説得力を感じる、程度のことですけど。 私が俳優を信じていれば、机上で遠慮なく、アクロバットできるのです。 半面、稽古なしで書いていると、やっぱ、論理のジャンプが小さくて こまごました感じになっちゃうんですよね。 未熟ゆえ、と言えばまあそれまでですが。 なるべく、大きなジャンプをしたいですね。 骨折すれすれで。頑張ります。

●稽古終わったあとは、江花、岩松と木村くんも一緒に、食事がてらちょこっと飲みました。 貴重なエネルギー源を補給しつつ、どのような技を使って、自然に異性の部屋に上がり込むか、などとしょうもない話をしたりしましたね。 人の気持ちを動かすのも、技術なのでしょうか。好かれていない相手でも、高度な技術があれば篭絡できるのか。 そもそも好き、とはどういう状態か。うーむ、などと高尚な話はぜんぜん、してないんですけどね。 嘘の感情も、ずっと嘘で作り続けていけば本当になるのかもしれない。 そんな蜃気楼を毎日、作っている気がします。 実際にやってることは、かなりくだらないんですけどね。 くだらなさを忘れずにやっていこうと思っております。 (主筆)

MEMO♯049【カノン、頼むから静かにしてくれ 12】

  • 2019年05月04日


●5月ですね。元号が変わっております。 しかし予定通り元号が変わるってなんかヘンだ。 演劇は、もうずーっと時代に遅れておりますので 改元などビタイチ関係なく、オルタナティブにやっていくのでしょう。 やりたいことだけ、やります。 やりたいことだけ、やるためには ちょっとやりたくないこともやったりします。 まあ、なんだかんだ大人ですよ。 はい。

●そんなわけで5月1日、稽古でした。 【蛇】篇の6回目。池尻大橋で18時~22時。 小池さんがちょっと体調崩しております。 他は、まあまあ元気。川上献心は少し血を抜いてもいいが。 知は抜かないように。 嘘です。ちょっとね、イジっちゃってますけど 川上、意外と緻密な演技をします。 稽古に合流した瞬間から、自然と、スっと中心に居りまして 周囲を見渡してかじ取り役を担ってくれております。 でもね、こないだ稽古終わった後に、岩松に言われたんですけど 川上のバランサーをやらせてるのは勿体ない、 突出して、周囲を突き放すべき、と。 ま、そうですね。同じ俳優として、もっとブッチ切って欲しい 思いがあるようです。 周囲に調和をもたらす俳優は、演出家としては助かるのですが これは、小学校の先生とかが 優等生やら、人気者をコントロールして クラスの調和を図るやり方みたいなもんですからね。 芝居は、学校ではないので むしろ「和」を乱す、異端児の存在こそが望まれる。 あるい程度までね、芝居が出来てきたら それを突き崩すような大暴れを、川上には期待したいと思います。 なんて他力本願。

●今日作ったシーンは、第一話の要となるシーン。 クライマックスのブリッジ、物語の構造が露見する場面でした。 …いま、安易にもクライマックス、などと 物語の「山」が自明であることのように書いてしまいました。 今回は【物語の類型】を作るのだ、などという計らいがあるため 私の戯曲も、ドラマの一点突破。 毎回、けっこう突っ張って書いているのですが いざ類型、パターンに身を任せていると、やはり気持ちいい。 それが【類型】であることの強さ、なのでしょう。 まあ、フツーに見たら、この物語が【類型】だとはなかなか、思えないでしょうが。 私なりの回答を描いていきます。 ご期待下さい。 実際には、写真みたいなアホなことをしてるんですけどね。

●2日も【蛇】篇の稽古の予定だったんですけど 劇場見学が入ったので急きょ、順延になりました。 皆で北千住に赴いて、イロイロとね。 視察をしてきますね。 インスピレーションのビリビリを得て 戯曲がもっと、パワーアップすることを願うばかりです。 どれだけ偉そうなことを宣おうとも 所詮は、霊感で書いている、オカルト作家なのです、私は。 演出はもうちょっとロジカルでもいい。 そう思う昨今です。 それでは。
(主筆)

MEMO♯050【カノン、頼むから静かにしてくれ 13】

  • 2019年05月07日
●2日、予定していた稽古を順延しまして、劇場の見学にいきました。 スタッフのための下見だったんですけど 俳優の人も結構、集まってくれました。 もともとは銭湯だった場所を使用したフリースペース。 フリーというと素敵ですが、ま、カラッポの箱です。 こういう場所でやりたいからこそのflipside。 広大な空間をどう使うか。 精一杯、遊ぼうと思います。 しかし湯船があると、人は入る。 心理ですね。

●3日は稽古お休みだったので、戯曲を書いてました。 【鳥】も【蛇】もちょうど第一話が終わったところです。 結局、一度も稽古に参加しない俳優がいるまま、三分の一を書いてしまいました。 妄想で書きましたけどね。でもやっぱ、浮いてる。 稽古に入る前に、オハナシはできてるのです。 でもセリフは、俳優を見ながら書いてます。 私の考えることは、私には退屈なので。 飽きちゃうんですよね。 でもまあ、台本ないとハナシにもなんないですからねー。 とりあえず上げました。 稽古できっと、バシバシ修正するでしょう。

●4日は【鳥篇】の稽古でした。 池尻大橋で18時~22時。 劇場見学を済ませた後ではいかにも手狭な稽古場ですけども。 ここも妄想で補ってやりました。 イリュージョン多めのファンタジー演出。 まあ、そのうちバミったりして、リアリズムの現実に負けるまでは 楽しくイリュージョンの世界で遊ぼうと思います。 写真は、湯船で暮らす人々。
(主筆)

MEMO♯051【カノン、頼むから静かにしてくれ 14】

  • 2019年05月09日


●5日、池尻大橋で18時~22時。 日中、いい天気だなーと思って洗濯物干して出かけたんですけどね。 一天にわかに掻き曇り、ドコドコ凄い音で雨降ってきましたね。 豹が降ったとこもあるらしい。 洗濯物は絶望です。でも稽古ぬ向かう頃には小雨になっておりました。 そんな波乱の天候とはリンクせず 稽古は穏やかに進んでおりますが。

●【鳥篇】の稽古だったんですが、【蛇篇】に出演の田尻さんが来てくれました。 アナログスイッチの本番を控えている大迫さんの代役をかって出てくれて お蔭さまで懸案だったシーンがサクサクと進みました。 ありがたすぎる。 空白の立ち位置に、ポンと居てくれるだけで、あっという間にできてしまいます。 人がいないと、どれだけアタマ捻っても、何もできません。 つくづく、俳優におんぶして作ってるんだなーということが分かりますね。 大迫さんも平川さんも、別現場で楽しく頑張っているので こっちもね、楽しく遊びながら、待ちわびたいと思います。

●しかし俳優を見ていると、身体というのは本当にイロイロだな、と思います。 きっと本質的には、いびつ、なんだと思います。 まっすぐ立っている人の骨は曲がっている。 重心が寄る、ということは そこにエントロピーが発生しているわけで それを平らにならすのは、正しいのかもしれないですけど、寄って立つ磁場を奪ってしまうような感覚もある。 じゃあボケーっと舞台に立てばいいのかというと まあ、それでもいいとは思うんですけど そのボケーっとした具合を認識している、というのは必要だと思います。 いかに自分がいびつで、偏っているかを意識して見せる。 或いは完璧にそれを隠しきる。 0点か100点は、偶然にはとれません。 どちらも意図的で意識的であることのウラオモテ。 テストなら一方は落第ですが、 表現においては、0点は最強のカードにもなり得ます。 少しづつ、舞台に上がる身体が出来上がっていく俳優をみて 感心したり、ちょっと残念に思ったりする日々です。

●【鳥】と【蛇】の2班体制で稽古してるので それぞれの稽古時間は、普段の半分なんですよね。 でもかける情報量は変わらないので、日々 脳を酷使しながら稽古しています。 終わるころには相当な抜け殻が予想されます。 是非劇場で、抜け殻状態の私と握手しましょう。 ご予約のほう、ボチボチお願いしますね~。
(主筆)

MEMO♯052【カノン、頼むから静かにしてくれ 15】

  • 2019年05月11日


●6日、劇場見学の日の振り替え稽古でした。 池尻大橋で18時~22時。【蛇篇】の7回目です。 まだ7回しか稽古してないのか~と 思う一方で、あとどれくらい稽古出来るのかも計算しないとな、 と思ったりします。 まあまだ稽古場に現れていない俳優もいるんですけどね。 ボチボチ、姿を現すのではないでしょうか。 這って進むしかないですね。 一足飛びには作れません。

●とりあえず、三話構成の第一話目が終わりまでいきました。 この日の稽古は、振り替えだっただけに 都合つく俳優が半分くらいしかおりませんで 少々、寂しい稽古場ではありました。 でも強引に作る。 概ね、ヘンで面白い芝居が出来つつあります。 相変わらず川上は面白い。でも結構、芝居は几帳面。 田尻さんの、声と身体が別の場所から発生している感じとか 小池さんが自分を持て余してる感じとか ぜんぶ、ヘンで歪で、興味深い。 もうちょっと、不自由にがんじがらめにしてもいいかな、と思います。 その不自由な抑圧の中から、自由への逃げ道を模索してくれれば 芝居はほぼ出来たようなものです。

●終わったあと、岩松と小池さんとちょびっとだけ飲みに行きました。 イキのいい若者が3人くらいで回している、小さな居酒屋。 カウンターの中のお兄さんは結構なイケメンで、 ドラマとかにちょいちょい出ている俳優さんだそうです。 若い女性数人のお客さんグループと楽しそうに話していたのですが 何かの拍子に、ボソッと 「でも何もかもフェイクっすから~」 と醒めた声で言っていたのが印象的でした。 そうね。 何もかもフェイク、なら 見たこともないフェイク、嘘みたいな嘘 を目指したいですね。 はい。

●劇場の北千住buoyにも、フライヤー置かせてもらってますので、お近くにお寄りの際は、ゼヒ。
(主筆)

MEMO♯053【カノン、頼むから静かにしてくれ 16】

  • 2019年05月13日


●えー、既に架空畳ウェブサイト、SNSでお知らせを致しましたが、 【蛇篇】に出演予定だった武居さんが、降板となりました。 ギリギリまで出演できるよう頑張ってくれたのですが、事情が変わってしまい どうしてもダメ、となりまして。 お客様とスタッフには本当に申訳ないですし、私自身、とても残念です。 長いこと芝居していて、実は稽古始まってから俳優が降板したことは初めてです。 うーむ、と落ち込んでも仕方がない。 すぐに方々、手を打ちまして。 前回公演に出演してくれました、椎葉さんが出てくれることになりました。 実はオーディションのときにね、顔を出してくれてましたし、 その後、飲みに行った後にもね、出たいなーと言ってくれていたのです。 ありがたや。 代役、という意識ではなく、まったく新しい自分の役として演じてくれればと思います。 また、いつか武居さんとも芝居をやりたいな、とね。 思います、本当に。 そんなわけで、どうぞ宜しくお願い致します。

●というようなことが起きるとはまだツユとも思っていない8日の水曜日、駒澤大学で稽古でした。 【鳥篇】の9回目。 【蛇篇】に続いて、こちらも台本が最後までいきまして。 ざざーっとラストシーンまで一気に動きを付けました。 【鳥】メンバーは皆、頑張って台本をすぐ離してくれるの導線がスムーズに決まります。 いない人の動きもメモってくれてとっても協力的。 本当は演出助手とかがいて、そういう仕事をするんだと思うんですけど。 ビンボーでね。いないんです、演出助手。 いまだかつて一度もいたことがない。限界は近いですが。 まあ、しかし大変ありがたいですね。皆がやってくれるのでね。 近頃の稽古場では、本田さん、桃子さん、林君の存在感が増しております。 この3人は、第二話目から、役が大きく動く予定なんですが 現在はその予兆、というか 仕込みのセリフ、後で効いてくるセリフを忍ばせております。 でもまあ、そういうことをね、今の段階であまり意識しすぎても、と思いますので 割と無茶な動きや、必然性のない歌唱シーンなどで 煙に巻いております。 第一話はちょっと時間を使って、その後の話はぎゅぎゅっとコンパクトに疾走できればな、と思っております。 しかし桃子さんの顔から入る演技はミョーに面白い。 ちょっとツボに入りつつある、昨今です。 はい。

●途中で、仕事あるため江花さんが抜けたんですけど スポーン、と台本をまるまる稽古場に忘れていきました。 誰もいない稽古場に、ポツンと忘れられた台本て、ミョーに寂しいよね。 バイト席のゴールデン街のバーまで、届けに行こうとすると 大浦さんが付いてきてくれました。 ついでにちょびっと飲んだんですけど、文無しだったんで、お金まで貸してくれました。 大浦さん、ナイスガイです。 長セリフ、早く覚えてね。 あ、あと実は江花さんが誕生日だったそうです。 でも、なんか万一サプライズとかされたらイヤだから、黙ってるんだって。 うーむ、シャイネス。

●写真は、跳躍力を高めようとする人と、重力の縛りを無にする人。
(主筆)

MEMO♯054【カノン、頼むから静かにしてくれ 17】

  • 2019年05月23日


●だいぶ空きました、このメモ。 まあ、どっかで息切れすることは最初から分かっておりまして。 この「空白」の期間こそが、稽古が盛り上がっていたという、雄弁な記録であります。 ホントは、Windowsのアップデートの災禍に巻き込まれ、Wi-Fi繋がらなくなったりとか まあ、そういう原因もあったんですけどね。 その復旧作業をする時間も惜しいほど、バタバタしていたのも事実であります。 戯曲も書き、稽古をして、演出の構想を練り、宣伝もする。 自炊をし、洗濯をこなし、読書をして、Wi-Fiまで繋げる。 それ以上のことができましょうか? どうだろうか? 今日で、【鳥篇】の初日までちょうど一か月、ということで しれっと再開しようと思います。

●【鳥篇】は前回より、3回の稽古がありまして、 通算で13回ですかね。ちょうど半分、消化した形です。 先日公演があったばかりの大迫さんはまだ参加しておりませんが それ以外のメンツは、ほぼ稽古場に揃っております。 今回は演出の意図を、なるべく言語化するようにしてるんですけど まあ、口にしてみると 大したことは考えてないんだな、という事が分かりますね。 考えることと、やってみることの案配を考えます。 簡単に考えて、じっくりと作って、それを複雑に壊す という作業が性に合っているようです。 自分の、というより、自分の作品の。 私本来の気性としては、永久に考えていたいんですけどね。 でも、それだと稽古になんないですからね。 だから、机の前で贅沢に考えて、稽古場であっという間に壊してます。 やっぱ稽古場に、俳優がいてくれると 一人では出てこないセリフが、ポンポンでるんで、ありがたい。 近頃は、削るためにセリフ書いてるようなものです。 消しゴムでデッサンする美大生みたい。 そんな美しいものでもないか。

●今、当たっているシーンは、林君と本田さんが中心なんですが クライマックスのセリフを書いているときに、 本田さんにはlineで、 林君には、稽古帰りの電車の中で この先、実はこうしようと思うんだけど、どう思う?とか聞いてみたりしました。 俳優と、役は、まったく別々に存在していて欲しくて、 「なりきる」みたいなことは必要ないと思うんですけど ある程度稽古が進んでくると、俳優もね、割と冷静に自分の役を見てます。 本田さんも、林君も、その辺の突き放しが早いほうだと感じまして 聞いてみたんですけどね。 なるほど!という返答がかえってきまして、また書き直しました。 いい感じ。 あとは、岩松がボチボチ暇そうにしてきたんで、ちょっとウェートを掛けようかなとか 田村さんに側転させようかなとか 江花さんの芝居に極端な落差が欲しいなとか 大浦さんに、動かず・喋って貰う方法を考えようとか 平川さんに声の高低をコントロールして貰おうとか 桃子さんに自覚的な演技と無自覚の演技のメリハリが欲しいなとか 佐々木さんはには一度冷酷に突き放した自分を、迎え入れるような算段をつけて欲しい。あと、髪型が素敵です。 そういうことを、考えております。 はい。

●【蛇篇】は5回の稽古がありまして、通算では12回ですね。 こちらは、俳優が大体全員揃いました。 突然の俳優交代などもありまして、一瞬、アワアワしたんですけども すぐに椎葉さんも稽古場にフィットしてくれまして。 もともと別の人にあてて書いていたセリフで、途中でセリフの生理が変わっちゃうかなと思ったんですけどね。 積極的に、役を自分のものにしてくれてます。 ありがたいことこの上なし。

●【鳥篇】では、俳優に丸投げの無茶なト書きばかり書いているんですけど 【蛇篇】では、一応、初参加組ということもあり、自重しておりました。 あんまし、幻想的なト書きは控えて、すぐ稽古場で指示通りに動けるようなト書きにしていたんですね。 でもまあ、そろそろ、一回くらいいいのではないか?と思いまして。 先日、試してみたところ 1時間くらいかかるかな?と思っていたシーンが、15分程度で完成してしまいました。 素晴らしい。 やっぱり俳優舐めちゃいけませんね。 いつも通り、川上くんがリーダーシップを発揮して、まとめてくれました。 田村さんや江花さんが稽古場にいてくれたのも大きい。 これに味を占めて、もっとヘンでよく分からないト書きを稽古場にもっていこうと思ってます。 ふふふ。 まあ、あまり調子に乗ると、田村さんや江花さんにたしなめられますのでね。 ほどほどに。

●俳優、みんな本当にうまいし、面白いです。 川上くんは、まあコミカルな役を振ってるんですけど、演技に不思議と品があるので、崩れません。 近頃参加した若尾くんは、身体能力が高く、てらいのない演技をするので、演出してて楽しいですね。 小池さんは戯曲を読み込んでくれて、ちょっとした疑問を、稽古後に必ず聞いてくれます。低く、通る声も素晴らしい。 田尻さんは、この芝居のメイン・プレイヤーです。オーディションから存在が図抜けてましたので、他の人より、2段階くらい高めのハードルを課してます。 下間くんは、照れながら、一歩前にくるようなところがあって、奥ゆかしさとヌケヌケとした部分が「一緒に」出てるのがいいですね。 長井くんは、今、一番演出していて面白い。そうやるとは思わなかった、という演技ばかりやります。本人がまじめなのか、ふざけてるのか、よく分からないところが凄くいい。 金澤さんは、ミョーに存在感があって、他の俳優とはホンの少し、性質の異なるセリフをあててます。なんでもないセリフが妙に艶めかしくなって、戯曲家を助けてくれますね。 石井田くんは、抜群にうまいです。でもなんか、すぐ死にそう。世界一頑丈な虚弱児、という印象です。あまり見たことのない演技体で、ニコニコしちゃいますね。 木村くんは、呑み込みがすごく早く、演出の意図を常に先回りして、作家気質を感じます。でもなんか、ヌけてもいる。湿度を感じる俳優です。カラッとしているより、百倍、好み。 椎葉さんは、1言えば100考え込んで知恵熱出しそうですが、100くらい与えるとリセットしてしまう、開き直りの良さで突き進んでほしい。

●先日の稽古では、前回公演に出てくれた江花明里さんも、様子見にきて下さいまして。 なんだかんだ、代役をやって貰ったり、導線のサジェスチョンを貰いました。 どんな稽古場でも中心に立ってしまう人だなーと感心です。 お金持ちになったら、演出助手に雇いたい。 まあ、出演して貰うのが一番、ありがたいんですけどね。 その後、軽く飲みにいったりもして、下らないハナシしたりしました。 俺らがやってるのは、遊びですからね。 本気の遊び、真剣な暇つぶしに、情熱を傾けようと思います。 Wi-Fiも繋ごうと思います。 明日も稽古です。 残りひと月、チケットのほうも、是非宜しく。 鳥、蛇とも面白い(だけではない)戯曲が、書けてます。 よろしく。
(主筆)

MEMO♯055【カノン、頼むから静かにしてくれ 18】

  • 2019年05月28日


●24日、26日、【鳥篇】の稽古でした。 16回目と17回目かな。 18時~22時。24日は下北沢、26日は新代田。

●24日は、劇団の公演を終えた大迫さんが来てくれるかな、と思ったんですけど 体調を崩されてしまい、不参加でした。 うーむ、残念。でも主役は遅れてくる者です。心配はしていません。 今回、大迫さんはギリシャ悲劇「アンティゴネ」の出てくるイスメネ役です。 イスメネって、戯曲の途中でいなくなっちゃうんですよね。 たぶん、作者のソフォクレスが忘れたんだと思う。 姉のアンティゴネを助けようとしてどこかへ行って そのまま物語から消えたイスメネが、2500年彷徨って、秋葉原に現れます。 このホンを書き始めたときは、まだ大迫さんの劇団公演は決まっておらず その後、参加が公演一か月前からになる、と告げられたのでした。

●なかなか現れないイスメネ。戯曲に書いても、誰も読む俳優がいないセリフ。 くしくも、「アンティゴネ」でのイスメネと俳優の境遇がマッチしてしまいました。 私は、この稽古の間中、ずっと考えていました。 いない人の存在、必要なのに物語から欠けてしまった人物の行方を。 や、もちろん、いなくなっちゃうイスメネと違って 大迫さんは、元気に素晴らしい舞台をやっていたんですけどね。 アナログスイッチ、みんな観ましょう。 いや、架空畳なんか問題にならないくらい、お客さん入ってますけど。 失礼しました。ハハハ。

●で、そんなイスメネの大迫さんも、26日の稽古から参加してくれました。 現れた途端、セリフを渡しました。 輝く太陽のようでした。本当に、拝もうかと思った。イスメネ様~って言って。 俳優が、稽古場にいてくれる。 それがどれだけ有り難いことか。 私のように、稽古や俳優によって、用意していたセリフや展開をまるで変えてしまう戯曲家にとって 俳優がいなければ、何も書けないのです。 これは、謙遜ではなく、本当に、稽古ナシでは一本の戯曲も書き上げたことがありません。 昔、学生時代に、稽古日程を間違えて、休みの日に稽古場に行ってしまったことがありました。 30分くらい経っても誰も現れない稽古場で、ずっと、俳優を待っていました。 私は、とうとう見捨てられたのだと思いました。 そして、そのことを戯曲に書いて、次の日、俳優に渡したのでした。

●というわけで、俳優の不在でさえも、戯曲のコヤシにして 「ここにしかない物語」を作っています。 私も30の半ばをトウに越えて、今更こんな青臭いこと言うのもどうかと思うんですけども。 まあ、性分です。 どうぞ、宜しくお願いします。

●24日の稽古には、【蛇篇】のスーパースター、川上献心が見学に来てくれました。 欠席だった平川さんの立ち位置に立って貰ったんですけど、存在感があり過ぎて、ヤツが立っている場所が気になって仕方がなかったです。 稽古終わったら、いつも通り、風のようにシャッと消えました。 ギジレンの俳優、片腹もおかし持って来てくれてたんですけど、私が遅れて稽古場到着したときにはもういませんでした。 でも稽古終わりに連絡来て、下北の、アホのように安い居酒屋で飲みました。 俳優からは、自分の役について様々な質問、要望、展望、解釈がとんできます。 私は「役」というものに関して、一貫した考えというものは持たない、というか、よくわからないので正解というのはないのです。 ないのですが、必ず「質問」を生む「役」を書こうとは思っています。 どんどん、質問が飛んでくるときは、いいホンが書けてると思います。

●26日の稽古後にもね、飲みに行きまして。 岩松が誘ったら、林くんも来ました。珍しいことです。 ギリシャ悲劇やらリア王やらカリギュラやら なんか演劇部の高校生みたいな会話をしておりました。 まーすごく雑なこと言っちゃうと 2500年前と今、あんま人間の想像力に違いはないですね。 きっと、古代のギリシャでも、稽古に来ない俳優とかいたり 売れてる劇団(?)の悪口言ったりしてたんでしょうねー。 下北みたいな、タベルナ(食堂)とかですね。 わはは。

●ま、そんなわけで稽古はボチボチです。 台本は、鳥・蛇とも3話構成の2話まで終わって、 さっさと3話目を仕上げにいっております。初日まであと25日。 早いとこ、セリフを俳優に預けて、にやにやしながら 稽古場に通いたいな~と思うのでした。 では、また。
(主筆)

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