コンセプト

Paperback Studioでのショーケース公演第3弾は、江花実里主演「量子探偵」シリーズの新作です。
2021年に配信公演のオマケとして書いた5分のショートドラマ「量子探偵」を江花が気に入り、以後2回、30分の短編として書いてきました（『量子探偵のフレーム密室』『量子探偵 不在のシュワルツシルト』）。
3回書いて、毎回同じ人物を登場させる「つづきもの」の楽しみがやっと味わえるようになってきたかな、というところで、今回は70分程度の中編に挑戦します。 量子力学を芝居のテコとして使うこと自体は、学生時代には既に始めていて、過去18年間の劇団公演で度々使ってきたネタではあるのですが、 この間、量子力学自体が創作の世界でもかなりメジャーなものになり、考証的に正しいマットーな作品もたくさん現れました。 ですが私が描きたいことは、科学的知見の正しさなどでは勿論なく、当たり前の世界をひっくり返すハッタリの膂力です。 科学も魔法も幽霊も宇宙飛行も、ぜんぶ同じです。それらは全て、世界を観る目と想像力を我々に与え・そして同時に奪ってっゆく、暴力的な機能に過ぎない。 どうせなら楽しく遊ばせて貰いたい、それだけです。
シリーズものではありますが、勿論この作品から初めて観て頂いて何の問題もありません。 量子探偵、またちょくちょく現れる予定ですので、是非よろしく。 千歳烏山でお待ちしております。
（小野寺邦彦）