細井メリハ退団のお報せ



当劇団の俳優、細井メリハが、前回公演『太陽は凍る薔薇‐絶対零度の解剖学‐』をもちまして、退団することとなりましたのでお知らせいたします。 本当は、昨年の10月末に、本人からは退団の申し出があったのです。
お報せが延び延びになってしまったのは、ひとえに私の責任です。申し訳ございません。

2015年『かけみちるカデンツァ』から参加した細井は、劇団ではじめて、オーディションを経て所属した俳優でした。初めて面接した日、芝居のハナシはそっちのけで、ずっとデビルマンの話をしてしまったのを思い出します。 舞台上での彼女は、不器用で、ヘンで、不思議で、そして魅力的でした。 ほかの誰とも替えの効かない、稀有な才能です。その大きくていびつな才能を、私と私たちの作品が、必ずしもすべて生かしきれたとはいえないかもしれないです(なんという婉曲的な表現)。けれど、その「もて余すかんじ」が、私は大好きでした。今日と明日でまったく違う演技をしてしまうかもしれない彼女に、ドキドキしました。今もドキドキします。

劇団というものが、まだわかりません。いまは、不定形なアメーバのように、くっついたり、プチンと切れたりしながら、しがみついてゆくようなイメージをもっています。
架空畳のソウルをもった細井が劇団を離れることで、むしろその「ヘンな魂の断片」は、世間に広くバラまかれていくのではないでしょうか。今後はお互いに活躍の場を広げながら、増殖していければと思います。
今後も、架空畳ともども、細井メリハをよろしくお願いします。
ほんとに、お願いしますね。

架空畳
小野寺邦彦

架空畳のことは、漫画家アシスタントを辞め5年のブランクを経て舞台復帰した後、オーディションのサイトで知りました。
最初の面接を受けて以来、小野寺さんの新しい才能が広く世に知られて欲しいなぁと思って活動してきました。わたし自身7~28才まで漫画を描いてきたものの漫画家になれていなかったことも大きかった気がします。小野寺さんにこれまでの劇作の概念を壊して欲しい、現代演劇の「なんかつまんない感じ」に風穴をあけて欲しい、と思いました。それができると思ってきました。その思いは今も変わりませんが、ある時一つの疑問がわきました。彼自身がそれをやりたいのか?ということです。わたしの一番の願いは、小野寺さんがやりたいことをやりたいようにやれることなのです。

もう一つ、面接で小野寺さんの話を聞きながら思ったことを告白しておかなければなりません。それは、ああやっぱり自分にはクリエイター以外の生き方は許されない、ということです。架空畳に在籍することで正直棚上げしていたそのことに、退団した今向き合っています。先々のことを考えると不惑を過ぎた心身が軋みますが、そんな愚かな自分が嫌いではありません。クリエイターですから何かを創るのでしょう。それが演劇なのか、漫画なのか、何なのかわかりませんが、それが生まれるとき、またお目にかかれたら幸いです。

これからの架空畳にも新しくいい風が吹きますように。

在籍中はたくさんの方々にご支援いただき、
本当にありがとうございました。

細井 メリハ