WORKS
上演作品
「DYNAMOROND×STRAND-MATERIAL REPLAY-」
僕は空洞、想い零れる。
その時、君は、傷つき、疲れ果て、遠く南極の彼方から、砂浜へと打ち揚げられた一頭の鯨だった。
満潮の海水に身を浸し、獣特有のガラス玉のような目で私を見上げた君は、やがてただ一言、休ませて欲しいと言った。
私は、君に言った。
夜の間に出発したほうが良い。朝になれば、近所の漁師があなたを見つけます。あなたの肉は、この冬の大変なご馳走になるのです。
君の虚ろなガラス玉の光が、ふと、常夜灯の優しい灯りに変わったような気がした。
大丈夫。朝になれば、引き潮が沖へと運んでくれるから。
そして君は眠った。潮が引き始めた頃、すでにガラス玉の目に戻っていた君は、沖へ帰ることは二度とできないであろう巨体を引きずって、それでも最後に一度、浜辺中に響き渡る声で嘶いた。
また会いましょう、いつかまた。ある晴れた日に、もう一度。
私には、その言葉が、悲鳴のように聞こえた。
