WORKS
上演作品
「都市と恋人を壊すメルトメトロトロンの怪物たち」
いないのに、いる。いないから、いる
フィットネス・ジムの鏡には、決まって未来しか映らない。
いつか辿り着く理想のボディ、それを幻視しながらひたすらに「今」の時間を運動によって消化する人々。
彼らが肉体を酷使する間、その脳の機能は、電力に変換され「都市」へと貸し出される。
その「脳」が見る夢…。
それはギリシャ神話最後のエピソード『オデュッセイア』の世界で、怪物たちが眠りを求めて彷徨う物語。
怪物の前に決まって現れるのは、家に帰れぬ放浪の王・ユリシーズ。
冥界にひとり、恋人を置いて「今」の岸壁に漂着するために。
寄せては返すθ波にたゆたうセイレーンのスヌーズ、永久に継ぎ足される「あと3分」の甘い誘惑を断ち切って、どっちつかずの冥界・チルド室の壁面に
バン!と手をついた瞬間。
ジムのミラーに亀裂が走り、閉じ込めたはずのミライが零れ出る。
いないのに、いる。
いないから、いる。
都市と恋人、追放の「back to back(背中あわせ)」。


