WORKS
上演作品
「太陽は凍る薔薇 -絶対零度の解剖学-」
かくしごと
神話の時代。
天におわしますパエトーンは、太陽の操作を誤り、その燃えたぎる円球を、地表に落としてしまった。
神々は代わりの太陽を探し、やがて一人のヒトの左胸に、それを見つけた。
現代。
そこにひとつの身体があった。
それは物言わず、身動きもとれない、一般に『脳死』と呼ばれる状態にあった。
その身体はいま、液体窒素によって凍らされたメスによって開かれようとしている。
その左胸から、未だ燃え滾る太陽を取り出すために。
だが、一つだけ問題があった。
その身体には、麻酔が効かなかった。
脳死と診断された身体は、つまり、眠る事のない死体だった。
現在、脳死状態の身体から臓器を取り出す際には『全身麻酔の実施が義務付けられている』
だが、手術は行われる。
眠りは、羊の力を使い、呪術的に施される。
果たして取り出された左胸の太陽ーそれは真っ赤に熟れたまま、絶対零度に封印された、一房のトマトだった。

