太陽は凍る薔薇-絶対零度の解剖学

WORKS

上演作品
▼太陽は凍る薔薇

-絶対零度の解剖学-

上演記録告知ページ

illustration:町田メロメ

架空畳 第16回公演

「太陽は凍る薔薇 絶対零度の解剖学


作・演出 小野寺邦彦

7月14(金)~16(日)
新宿シアターモリエール

かくしごと



神話の時代。
天におわしますパエトーンは、太陽の操作を誤り、その燃えたぎる円球を、地表に落としてしまった。
神々は代わりの太陽を探し、やがて一人のヒトの左胸に、それを見つけた。

現代。
そこにひとつの身体があった。
それは物言わず、身動きもとれない、一般に『脳死』と呼ばれる状態にあった。
その身体はいま、液体窒素によって凍らされたメスによって開かれようとしている。
その左胸から、未だ燃え滾る太陽を取り出すために。

だが、一つだけ問題があった。
その身体には、麻酔が効かなかった。
脳死と診断された身体は、つまり、眠る事のない死体だった。
現在、脳死状態の身体から臓器を取り出す際には『全身麻酔の実施が義務付けられている』。 そう、

『死体を開腹する際には、全身麻酔の実施が義務付けられている』

だが、手術は行われる。
眠りは、羊の力を使い、呪術的に施される。
果たして取り出された左胸の太陽ーそれは真っ赤に熟れたまま、絶対零度に封印された、一房のトマトだった。


ご挨拶


■その節は、本当にお世話になりました。一時はホント、どうなるかと思ったのですが、おかげでこうしてお便りするくらいには回復しました。何とお礼を言っていいか……。

■もう一度、物語をやろうと思ったのでした。

■ここ2年間くらい、友人とバンドを組んで練習やら演奏やらをして遊んでいたのです。10年ぶりくらいにエレキギターを弾いたりなんかして。ビンボー閑ナシの中、何とか時間を捻出し、さあ今日は練習だ!とギターを担いで電車に乗るような日々が始まって気づいたのですが……楽器を持って移動している人って、凄くたくさんいるのですね。自分自身が楽器を持って移動するようになって、初めて実感しました。体感としては『メガネをかけてる人くらいはいる』。電車の中で探してみて下さい。本当にそれくらいいますから。

■こんなに多くの人が音楽をやっている。きっとそれと同じくらい、絵を描いたり、お笑いをやったり、演劇をやったりしている人もいるのでしょう。楽器は目に見えるので、分かり易いですからね。同じような比率で、何らかの表現活動に携わっている人がゴマンといるハズです。でも気づかない。同じように楽器を担いでみて、初めてそこに人がいると気づくのです。僕は芝居を始めたとき、誰かに気づいて貰いたいなんてまるで思いませんでした。ただ、たった一人の人に、観て欲しかった。本当に、それだけだったのです。

■その節は、本当にお世話になりました。一時はホント、どうなるかと思ったのですが、おかげでこうしてお便りするくらいには回復しました。何とお礼を言っていいか……。あなたが最後に僕に言ってくれた言葉、まだ忘れてはいません。ずっと忘れたことはありません。
『いつか、究極のラブストーリーを書いてね』
それはたぶん、冗談だったのだと思います。ブ厚いハードカバーの翻訳書をこれ見よがしに読んでみせ、自分も理解していないような小難しいコトばかりを並べて悦に入る幼稚な僕を、フとからかってみたくなった、それだけのことだったのかも知れない。でも僕はその瞬間から今まで、ずっとそのことだけを考えてきたのです。

■あれから随分時間が経って、あなたが僕の芝居を見ることが出来なくなって、僕も少しづつ変わったのだと思います。今、僕は、多くの人に気付いて欲しいと思うようになりました。多くの人に、芝居を観て欲しいと。そう、あなた以外の、すべての人に、です。もう一度、物語をやろうと思います。大丈夫。僕は元気です。毎日イロイロとあるけれど、本当に元気でやっていますから。

■今年もきっと、暑い夏になりそうですね。それでは、また。7月、新宿でお待ちしております。

架空畳 小野寺邦彦

タイムテーブル

※全て開演時間です。受付開始は開演時間の40分前、開場は30分前です。
※中学生以下の方のご観劇はご遠慮ください。
※駐車場はございません。お車、オートバイ、自転車でのご来場はご遠慮ください。


出演


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岩松毅

田村友紀

江花実里

澤岡史織

細井メリハ

江花明里

佛淵和哉

佐藤美樹

佐藤拓実

大浦孝明

佐々木千枝子

林大輔

高木 碧

片腹年彦

黒澤風太

門田友希

鈴木まりこ


スタッフ


照明:黒太剛亮/ 音響:久郷清/ 舞台美術:辻村夏美/ 舞台監督:にしわきまさと/ 衣装:小川優太/ 宣伝:orange21/ ステージング:佐々木諒/
写真:Shin Matsumura/ 制作:永井友梨/ イラスト:町田メロメ


チケット

  • 第一次先行販売 5/12(金)~5/26(金)