これは、現実ではない。
世界は、夢ではない。
4次元空間の密室にひとり引きこもる孤独な少女、順子・ノイマンの元に、「物語の探偵」を名乗る男、トラヴィスが現れる。
今、別の時間/別の場所で、ひとつの遺体から複数の異なる死亡推定時刻を示す遺留品が検出されるという怪奇事件が発生し、その容疑者として、4次元空間を行き来できるノイマンがリストアップされたのだ。
自身の存在消滅を懸け、量子探偵として初めての事件を手がけるノイマン。だがそれは恐るべき『ウォーターヘッド事件』…その《トリガー(引き金)》に過ぎなかった。
(ミンコフスキー密室)
【昼】の世界と【夜】の世界。奇妙に捻じれてしまった近未来。
4次元人の存在が公にされた【夜】の世界では、深刻な社会問題が発生していた。
それは4次元人による、他次元への介入である。
他次元の人間には、今・目の前にいる人間がネイティブの3次元人なのか、それとも移住してきた4次元人なのかを区別がする術がない。疑心暗鬼にかられた人々の間で、4次元人排斥の機運が高まっている。
既に老い、量子力学も過去の遺物となり果てたノイマンの元に舞い込んだ依頼。それは捻じれた次元の隙間に人間が溶ける『∞(レムニスケート)失踪事件』。 ノイマンは、量子探偵としての最後の事件に挑む。
(レムニスケート消失)
