WORKS
上演作品
▼柔らかい非流線形のフーガ
メメント/アライメント
座・高円寺 冬の劇場23 日本劇作家協会プログラム◎カンテン「The Foundations」参加
柔らかい非流線形のフーガ メメント/アライメント 2024年 1月25(木)、26(金)、28(日)
2024年の架空畳は、座・高円寺で行われます6団体競演のフェス・カンテン「The Foundations」参加からスタートします。
個性の異なる6つの上演団体がそれぞれ60分の時間を使って、舞台美術セットなし・小道具も最小限でというレギュレーションのもと、更地の座・高円寺1で競演致します。
@座・高円寺1
チケット:一般¥4,000 / 学生¥3,000 / 通し券¥10,000
作・演出:小野寺邦彦
出演:岩松毅 / 江花明里 / 日野あかり / 荒波タテオ / 本田真唯 / 大矢紗瑛 / 河西美季 / 小島あやめ / 内柴楓 / 木村友哉
詳細→カンテン「The Foundations」公式
何もない空間に人物が現れる。或いは既に立っている。それ自体がドラマになる。演劇で一番好きな要素です。何もない空間は広大であるほど、人物が動かす空気の量は膨大になります。人物が動く前の一瞬、台詞が発せられる寸前の予感。今まさに空気が動くその瞬間を微分して、充実した「何もなさ」を劇空間に表現したいと思います。
1プログラムで2団体、全3プログラムでの上演です。
架空畳はSky Theater PROJECTさまとの同プログラムに登場します。
12年ぶりの座・高円寺です。ご期待下さい。
NEWS
01-24 : 稽古メモ 公開
01-21 : ダイジェスト動画 公開
01-18 : ものがたり 公開
11-21 : 出演者 ビジュアル公開
11-14 : 公演情報 公開
コンセプト
■ソクラテスの「対話篇」はソクラテスの著書ではない。能楽「藍染川」は主役のシテよりも脇役であるワキ方の力量が問われる秘曲である。VR空間に自分自身を再現する為に必要なものは、自分以外全ての周辺情報である。つまり中心は空洞であり、空洞に何か‐例えばドラマ‐を見つけるのはそれを凝視する視線の束だ。その視線を一身に浴びて人物が登場する。
そうして始まるのは極めて類型的な、こんなメロウなドラマであるはずだ。
■この企画は、【複数劇団で劇場をシェアする】というコンセプトによって昨年第一回が催された企画の二回目に当たります。
タイトルは昨年の「視点」から、「カンテン」(=観点)と改められました。…という話を、参加を打診された際に伺って、ではそのタイトルの変遷から物語のキッカケを探そうと思いました。
視点は、点。
観点は、線。
観点という線分の中に含まれる一点(Point)が視点です。数学の問題などで現れる、線分の上を定められた速度で移動する、あの「点P」こそが視点なのです。
点Pはどこまで移動しても、線分の上から逸脱することは出来ない。
どころか、その相対的な「位置」は線分によって割り出され、あまつさえ書き換えられさえする。
そんな堕想から、虚ろで不確かな中心を生み出す群衆の物語を着想しました。
存在しないたった一人を生み出す、顔のない群衆。
顔のない?
果たしてそうでしょうか。
生み出されたたった一人=scapegoatは、きっとその産みの親である群衆全ての「顔」なのです。
誰もがすがる、ドラマ、メロディ。
この物語は、現存する・そして過去現存した、すべての物語に似ています。であるからこそ、どこにも存在しない。
そんな少し珍しい、メロ・ドラマトゥルギーをお見せします。
…といつも通り煙に巻いておりますが、ちゃんと筋があり、盛り上がり、オチが付く。テーマは浮上し、人物はキャラクターに内包される。とても面白い奇想天外な「お話」です。ご安心下さいね。
最上の信頼を寄せる10人の俳優に全力で寄りかかり、創意に満ちた遊びの限りをご覧入れます。
遊んで遊んで、遊び尽くす。総力戦です。ぜひよろしく。
(架空畳 小野寺邦彦)
スケジュール
アクセス
チケット
ものがたり
いつもは地面から聞こえる地下鉄の音が、頭の上から聞こえる。
昨晩、地下鉄の終電車に落とした忘れ物を探して、私は海抜800メートル下のどん底へと案内された。
「決して目を落として歩かないように」
地下を先導するベテランガイドはそう釘をさしたけれど、踏み外した一歩のつま先を追ってつい、
私が目を落としてしまえば、たちまちの暗闇!
そのドサクサに、日比谷線と銀座線が交差した地の底は、遠くメンフィスはギザのピラミッド、
その地下迷宮へと場所を変えた。
そこで出逢ったのは、玄室に眠る女王。そしてミイラ取りがミイラのノミ取り、地下で落とし物を探すうち、
迷宮に捕らえられ出られなくなった一人の男だった。
男は、私を「墓荒らし」だと言った。女王の墓前を荒らす墓荒らしだ、と。
このどん底に私が探しにきたもの。
それは財宝でもなく、遺品でもない。ただ一つ。終電車に落とした、ただ一つの忘れ物。でもそれが何だったのか…。
いつもは地面から聞こえる地下鉄の音が、頭の上から聞こえる。
私の名前はデルフィ・ワーシカ。
ど・ろ・ぼ・う、と指さされた背中を押され、地下への階段をまた一歩下った。
(出演者の写真をクリック/タップで各役の「ものがたり」がお読みいただけます。)