天使も踏むを恐れるエチカ

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上演作品
▼佐藤辰海演劇祭
/ かながわ短編演劇アワード2020 参加作品
天使も踏むを恐れるエチカ

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MEMO♯059【天使も踏むを恐れるエチカ01】
2019年12月09日

●どもです。6月ぶりの稽古メモです。 稽古、しております。台本、完成しております。 『天使も踏むを恐れるエチカ』、今回は30分の作品です。 なんだかんだ、一昨年からいわゆる短編作品を年に一本書く機会がありまして。 昨年は過分な賞まで貰って、まあいい思いさせてもらいました。 賞金をね。20万円頂きました。 芝居を書いて、20万円。 スゴイです。 まあ、その場で次回公演の劇場費用になりましたけどね。 で、振り込み日に通帳みたらね。源泉徴収して振り込まれたんですよね。 あ、そうかそうか、そういうもんか、と思ったんですけど。 なんか、半年後くらいにですね。 謎の名目で、ひっそりと、差額分を振り込んでくれてたんですよ。 予告も何もなかったんですけど。 え、偉い!神奈川県、偉い! そのお金は、一瞬で舞台美術費になりました。 副賞のシェラスコのお店には江花さんと行きました。 席に座っているだけで肉を延々与えられてフォアグラ気分でした。

●今回は、以前に架空畳に出演したこともある佐藤辰海が主宰する劇団、ギジレンが 王子小劇場をなんと、一か月バーンと借り切って行う興行の中で、他劇団との競演として参加します。 賑やかなお祭りのような、人気者大集合って感じの催しなんですけど。 まあ、いい意味で、フツーに。 架空畳、いつも通りにド肝を抜きたいと思ってます。 折角なんでね、 出演者も今回は客演ナシで、架空畳メンバーだけでやろうって話して、そうしてます。 佐々木くんなんて、3年ぶりくらいですかね。 柴山はお休みですが、劇場にはいるかもしれません。 とにかく、パッと集まって稽古して、パッと解散してます。 これが気持ちいいです。 もう今更ね、僕ら仲良しです、いえーいって言って飲み会の写真をSNSに上げるとかね。 いらないんです、そういうのは。 作品を作ることだけにエネルギー使ってる感じがね、イイです。 や、仲いいですよ。飲みにもたまには行くかもしれませんけど。 あくまで第一に作品で繋がりたい。そう思っているし、今、そうなっています。 イイでしょ。そんなわけで、バッチリ仕上げて持っていきますんで宜しく。

●ド年末の忙しい時期ですけども。 王子、なかなかの僻地ですけども。 来て戴けたら嬉しいです。 そういえば最近、劇団の公式lineというのが立ち上がりまして。 そこで稽古後に、短信をメンバーが配信してます。 あと、私が観た芝居の感想を400文字くらいでひっそりと語るイラスト付の瓦版も不定期に配信中です。 公演のときには、割引クーポンなんかも配信されるようです。 ちょっと気になるな~程度で結構ですので。 試しに登録だけでもして頂ければ↓

http://kaku-jyo.com/line.html

なんか、「一回、話だけでも聞きにいこうよ」って怪しいセミナーに誘う友達みたいですけど。 まあ、あながち間違いでもナシ。 怪しさ、楽しさ、織り交ぜながら生きております。

●そんなわけで、もうすっかり使い方が分からないfacebookですけど。 またちょっとだけ、お付き合い下さいね。 写真は、どう見てもこの下に死体が埋まってそうな、我が家の庭です。 では、また。
(主筆)


MEMO♯060【天使も踏むを恐れるエチカ02】
2019年12月13日

●稽古しております。毎回、方々の稽古場を行ったりきたりの稽古場ジプシーなんですが。 今回メインで使っている場所が、駅から徒歩20分くらいでちょっと距離があるんですね。 でも、その歩いている時間を使って、稽古の算段とか演出のアイディアとか考えるのにちょうどいい。 喫茶店でコーヒー飲みながらボヤ~っと考えた演出と 駅からシャキシャキ歩きながら考えた演出、なんか違う気もします。 違わない気もします。 とりあえず、今回の作品は「歩きながら考えた芝居」ではあります。

●佐々木くんが、本業のパフォーマー仕事でしばらく稽古離脱となりまして。 その間に、残ったメンツでモロモロ、芝居の細部を積み立てていく作業を始めております。 視線一つ、歩き出しのタイミング一呼吸、変化させるだけで芝居はグッと変わります。 そんな細かいとこ、お客さんは観てないでしょ?と思ったりもするかもしれませんが。 観客は、一つ一つの「集積」を観ています。 例えばスマホいじりながらチラチラしか観ないようなテレビドラマでも、「安い」か「そうでないか」は察知するでしょう。 演出って、そういう漠然とした「印象」を積み立てていく作業だと思います。 まあ、楽しいですね。 私は「演出家」だったことは一度もなく、自分のことは「演出好(すき)」と自称しております。 「家」ならやらないけど「好き」ならやっても仕方ないよね という、己の欲望に忠実になるための方便です。 「家」をやってたら到底、敵わないですから。 「好」にまい進したいと思います。 俳優はどー思ってるか、分かんないですけど。そこは我々も大人、ですから。 ヤブヘビはつつかないのが賢明と言えましょう。ハハハ。

●今回は1ステージで3劇団の公演がある形式なんですけどね。 自分たちの出番の前に、チャッといろいろ準備して、終わったらまたチャチャっと 次の劇団に舞台を明け渡さないといけません。 その都合上、ステージの上にあまり凝った装飾とかは出来ないんですけど。 でも演出好ですから。 なんとか、舞台の風景を変えようと、皆でいろいろアイディア出してやってます。 澤岡さんが、職場から驚異のテクノロジーを横流ししてたり 江花さんが、小道具のクラフトワークをやってくれたり。 会場はギジレンのおひざ元、ですが 使わせて貰う三十分は、厚かましくもべったり、自分たちのものにしようと思います。 ちゃんと「架空畳の芝居」になるよう作ってますので どーかご期待下さいね。

●そんなわけで、ぼちぼち芝居を仕上げていきます。 カレーも食べます。では、また。
(主筆)


MEMO♯061【天使も踏むを恐れるエチカ03】
2019年12月17日



●14日、15日と続けて稽古でした。 14日は昼稽古。相変わらずのエア佐々木状態ですが、ワシワシとシーンを詰めてみました。 これまで先に進めることを優先して、イリュージョン多めで胡麻化していたシーンを 具体的に可能な形まで落とし込んでいく作業。 出来そうにないことを、ただ「出来るだけ」にするのは全然、面白くないです。 逆に、抽象的なイメージを具体化していく時に起こるイリュージョンを探しています。 俳優には、身体、というとても不自由で魅力的な素材があるので。 「ためにする」動きからの脱却と「意味以上の魅力」その両方を揚力にして、浮上したいと思います。 まあ、そろそろプカリと浮くでしょう。 そのとき、戯曲の言葉がモタつくようなら、また切ります。 そういう地味~~~な作業を積んで積んで、パパっと2,3秒で目の前を通り過ぎていくシーンが出来ています。 芝居って贅沢なアソビですね。 でもきっと、どんな表現もそうですね。
一か月かけて描いたマンガは3分で立ち読みされ
5年かけて作ったゲームは一週間でクリアされ
10年かけて書いた絵は目の端に映されて、通り過ぎてゆきます。
だからまあ、豊かなんです。 コスパ、とか言う人は、その「コスパ」って言葉を口にしてる時間が一番、無駄です。 言いすぎか。暴論でした。ハハハ。

●14日、稽古終わったあとは我が家に人を招いて謎のカレー忘年会。 なんのことはない、私が作成したカレーを食べさせるだけの宴です。 架空畳の永井と、写真家のしんまつ君、お馴染みデザイナー夫婦のオレンジ君と大木さん。 それと、以前『かけみちるカデンツァ』再演に出演してくれた俳優の清水さんも来てくれて カレーをモリモリ食べました。 皆、飢えた餓鬼のようにお替りし、しんまつ君は都合5杯も食べて、朝、帰る前にも食べて完売カレーとなりました。 10リットルのカレーが一晩でカラに! 嬉しおぞましい光景でした。

●で、翌15日。 朝方みんな帰ったあとに一瞬、ひと眠りして、昼から今度は江花さんが来てヒミツの大道具制作。 予想外のカレー完売だったがために、余った材料でもっぺん、即席リベンジカレーを作ってふるまいました。 おなかを満たして、作業開始。 妄想の設計図による手探り作業だったんですけど、職人のように作業する江花さん。 スゴいです。私は手を出さず見守るだけ。それが一番の手助けだと知っている、悲しみ。 夕方までぶっ続けで5時間作業して、バッチリ形になりました。 今回、他団体との競演ということで、演目の間の時間が短く、なかなか凝った仕掛けや美術は用意できません。 それでも、貴重な時間とお金をお客さんから頂いて公演するわけですから。 ちょっとでも、舞台の風景を変えようと思ってます。 ささやかなんですけども。 スタッフさんや、ギジレンには迷惑かけるかもしれない。 素舞台のほうが、無難ではある。 でも、まあ、やります。性分です。「無駄」に時間と技術を張りますよ。楽しいからね。

●美術のメドがついたので、江花さんと急いで稽古場に向かい、1時間ばかりの遅刻で到着。 まず乱暴にアタマからだ~~っと通し。タイムは33分。 それから前半だけをスピードブっとばしでやってみて、修正してから、もう一度全編の通し。 今度は29分。でも音や映像なんかのキッカケ待ちも入るのでまだちょっとオーバーかな。 全体のテンポが見えてくれば、少しセリフを切ろうかなと思います。 そこで切ったセリフは既に役者のカラダの中には入ってますからね。 戯曲が、戯曲から上演台本に代わっていく段階に入れば稽古はぼちぼち佳境です。 そろそろ音が欲しいので、選曲に入ります。 架空畳の劇伴は、2010年以降はすべて私が選んでます。 いっぱい音楽聞けて、楽しいんですよね。 以前は神保町の「ジャニス」という化け物レンタルショップで100枚くらいCDを借りて選んでました。 でも昨年、ジャニスが閉店し。 それ以降はスポッティファイやアップルミュージックなんかで発掘してます。 ちゃんと、楽曲使用届も出してますよ毎回。 偉い。いやフツーなんですけど、芝居やってる人って殆どやりません。 やろうぜ、って感じ。ジャスラックがどうとか、意見は様々あろうけども。 自分の創作に関しては、一切の「後ろめたさ」ナシでいきたい。 そんな大したハナシじゃないですが。

●そんなわけで、稽古は佳境。 今週はギジレンスタッフに稽古を検閲されるいわゆる「見せ稽古」ってのがあるようです。 呆れられつつ、頑張ろうと思います。 写真は、完売カレーと、とあるシーンでお尻をプリっとさせる人たちです。 では、また。
(主筆)


MEMO♯062【天使も踏むを恐れるエチカ04】
2019年12月20日

●18日、稽古はオフだったんですが、先日作った美術の仕上げに再び江花さんが来訪。 私は作業を全力で見守ったり、 全力で珈琲を淹れたり(インスタント)、 休憩で横になった江花さんに全力で毛布をかけたりしました。 作業はサクっと終わって、二人で新宿へ。 江花さんは仕事、私は某所へ資料提出に。その後、聖地ベローチェで永井と合流しまして。 お裁縫セットを手渡すミッションを完遂。 以前の芝居で衣装の小川さんが作って下さったものを再利用するんですが、 それをちょびっとカスタマイズするために、チョイチョイと縫物するためのモノです。 現代人、裁縫セットもってない。 ボタン取れたらどーすんだろうか。 現代のボタンは取れないのかもしれません。 100年後とかになったら、「昔の人は針と糸でボタンとめてました」って教科書に書いてあるかも。 針って!糸って!おいおい、みたいな。 ま、それはいいんです。 その後、サイゼリヤに移動して、澤岡さんも合流。 何の用もなかったんですけど、ただ3人でお喋りして、話題の羊串など食べたりしました。 ぺちゃくちゃ、4時間くらい。 おればっか喋ってた気もします。いつものことなのです。

●翌日の19日は終日、稽古でした。 まず12時半から17時まで、祖師ヶ谷大蔵だったんですが。 夜は王子で、演劇祭スタッフに芝居を見せて打合せってことなんで、 前日に音のデータを用意して、USBフラッシュメモリに入れてあったんです。 準備万端、で、出かける直前にアレ?って気づいたらドコにもない。 わたわたと30分くらい探したんですけど、ナイ。 えーい、仕方ナシってことで小一時間かけて、イチからデータ作り直しました。 お陰で稽古に45分遅れで到着。申し訳なし。 稽古は相変わらずの佐々木君不在、澤岡さん仕事のため、4人で。 音だしに柴山にも来て貰いました。 私が代役をやったりなんだりで、細かいとこ詰めたりしつつ、 3回ばかし全編通してみました。 なんか、岩松がヘロヘロです。 昨晩飲んだビールが汗となって排出されてゆくほどに、顔色が土気色になってゆくのでした。

●その後、王子に移動しまして、見せ稽古までの時間つぶしにまたしてもサイゼリヤ。 そしてまたしても羊。 羊、うまいです。 そういえば、むかーし架空畳の俳優だった桐村さんと、羊丸焼きを食べたのは今年の1月。 江花さんとか丸尾さんとかと新宿で羊焼いて食べたのは、去年だったかなあ? 今、羊が突然変異を果たして、食物連鎖の地位が人間と入れ替わったら、間違いなく俺が串にされる、程度の頻度で摂取しております。 田村さんが縫物したり、岩松が間違い探しを解いたりしてる間に澤岡さんも合流して、 そのまま見せ稽古にいきました。 私が佐々木君の代役をやりまして、ドッタンバッタン。 その後、スタッフさんと音響、照明、道具なんかの打ち合わせをやりまして。 キッカケの煩雑さに、ハハハと苦笑いです。 ま、そんなわけでもう、前進するだけです。 前進、て軍隊のコトバみたいで好きくないですけど、好きくないコトバも使っていくほどの覚悟でやります。 よく分かんないんですけど。 王子のスタジオを出たのが22時。長い一日でありました。 ちょびっと疲れましたが、まあ羊でも食って乗り切ります。 初日まで、ちょうどあと一週間。 次の稽古には佐々木くんも戻ってきますので。 ミチミチと遊ぼうと思います。 ご予約のほう、ボチボチと宜しくお願いしますね。 写真は無意味に不穏な人たちです。 では、また。
(主筆)


MEMO♯063【天使も踏むを恐れるエチカ05】
2019年12月27日

●そんなこんなで、アっという間に初日です。 バタバタで稽古メモが滞るのも恒例ですが、 音信が途絶えるほど芝居は良くなっているという故事もございます。 大詰めだったここ数日間を、プレイバックします。

●一昨日は朝9時から稽古しまして、夕方から王子でゲネプロという名のリハーサルでした。 全参加団体で、一番目のゲネでして、 仕立てられたばかりの会場で暴れて参りました。 役得ですね。 昨晩まで同じ劇場でやってました「モノローグ演劇祭」と全く同じ劇場。 昨日はエラソーに審査員なんぞやってましたが、 一晩たてば、こっちがジャッジされる側。 この循環がステキです。 モノローグ演劇祭、面白かった。 でも、俺らのほうが面白いすよ。 自分の作るものが一番面白い、そう思ってるし、モノを作る人には全員そう思っていてほしいです。 震えますけどね。ハハハ。

●芝居は、完璧でした。 道具、衣装、明かり、音。 私の頭の中にしかなかった芝居の要素がピタリピタリと合わさって、 寸分たがわぬ姿で再現される瞬間は、演出家にしか味わえない特権です。 脳からいっぱい汁が出ました。 打合せの際には、キッカケの多さに苦笑されたんですが やってみれば御覧のとおりで、まあ完璧。 私の頭の中にあったものは、すべて形になりました。 あとは、私の想定の上をいく演技を、ステージ上で役者が積み立ててくれるでしょう。 楽しみです。

●で、昨日は昼12時過ぎから、夜22時まで10時間。 既にできた芝居をアタマからみっちり、磨きあげました。 一言のセリフ、一瞬の身振りに至るまで、毛細血管を張り巡らせるが如く 仕上げました。 30分で終わってしまう芝居のチューンナップに10時間。 パパっと集まり、数時間集中し、あとは個々人の技能に託す、そして成功する、そんな芝居もあると思います。 才能にあふれた、素晴らしい技術があれば可能なのだと思います。 でも、残念ながら私にそれはできません。 おまけに私は未熟で、臆病なので、傑作の確信がない芝居は舞台にあげるのが怖い。 で、ぜんぜん怖くなくなりました。 申し訳ないですけど、傑作です。 佐藤辰海演劇祭、勝負がつくらしいですけど。 何にも比べられない芝居が出来たので良かった。 自分の作る芝居が、一番面白い。 きっと8団体全員がそう思ってると思います。 娯楽で溢れている世界、そうでなければ自分で創作する意味がありません。 そう思います。

●とかなんとか、文章ってつい、書き手よりも「男前」になってしまうものです。 別にエラいわけでもなんでもない。 芝居は、自作自演。 誰に頼まれてやるでもなく、やりたいからやるのです。 やりたい芝居をやります。 本日初日です。13時半開場、14時開演。 王子小劇場で、お待ちしております。 劇場で、お会いしましょう。 あなたを、待っています。
(主筆)


MEMO♯064【天使も踏むを恐れるエチカ06】
2019年12月28日

●はい、初日あけました。 出来は、バッチリ。お客さんの反応もバッチリ、手応え頂きました。 演劇祭、てことで、他団体の方とも楽屋ですれ違いまして、そのたび挨拶するんですが 皆さん、優しくしてくださって有難いことこの上ナシです。 ギジレン主催の手作り演劇祭。けっこうバタバタしてるんですが 皆で協力して、いいイベントにしようと頑張ってます。 いつもはぐれ者を気取ってますけど、こういう時ばかりは 「組織の力」を感じます。 そうやってはぐれ者を気取っていられるのも 誰かが「組織」をやってくれてるからなのですよね。 ホントは、分かってます。 みんな、ありがとう。 我々の出来ることは、いい芝居をやることです。 そのためだけに、2か月以上、ガリガリ稽古してきましたのでね。 まあ、昨日はホント、いい初日でした。

●普段は苦戦する物販も、何故か大盛況。 一瞬、列まで出来る事態に。 いつも来て下さる方、応援して下さる方に交じって 初めて見ました、と仰ってくれる方もチラホラ。 「分かんなかった、でも面白かった!」って感想も頂きました。 一番、嬉しい感想です。 そういうものが作りたいと、ずっと思ってきて、今、作れていると やや不遜ながら思い上がっています。 もちろん、厳しい意見は山ほどあります。 でも、その、「意見がある」状態が幸福です。 初めて芝居をやった頃は、「凪」でしたから。 上演後は、誰もがサっと顔を伏せて去ったものです。 罵倒、をされたことも実はあります。 同じく小劇場の主宰者で、学生にちょっと人気があった団体の人でした。 でもその人はもう、芝居をやめています。 私たちは、続けている、ただそれだけの事です。 ま、何にせよ、架空畳、踏ん張っております。 今回の上演台本は500円で販売してますのでね。 ゼヒ、終演後にちらっと寄って行って下さいね。 ヨロシク。

●てなわけで、本日は2日目。 架空畳は19時の回にトップバッターで登場です。 このトップバッターって言い方もクリシェですね。 別にトップキッカーでもトップランナーでもいいと思うんですけど。 ランナーは意味が違うか。 ま、そんなこんなです。 当日券ありますので、宜しくお願いしますね。 明日29日14時の回で、架空畳の出番はラストなんですが、 実はお席が完売です。 キャンセル待ちは受け付けておりますが、枚数どれくらい出るかは未知数であります。 今日!今日が狙いどころですよ、アナタ。 王子で、お待ちしております。
(主筆)


MEMO♯065【天使も踏むを恐れるエチカ07】
2019年12月29日

●二日目、終了しました。 初日と変わらず、ドッタンバッタンやって参りました。 30分以内で!と言われている上演時間ですが 初日は30分6秒、ちょっとアンコが出てしまいました。 ま、急ぐことはない。 フツーに、フツーにやりましょ、と言ってたら 「あまり普通、普通といわれると普通が分からなくなる」と 哲学的な問いを返されてしまいました。 確かに。 で、ばーっとやったら、29分9秒。 稽古でも出たことのない素晴らしいタイムでした。 3団体のうちの、一番目の出番というのもあったかも。 後ろが控えてますからね。 他団体との競演は、普段あまり経験がないもので、 そういう要因でも芝居は変わるんだな、と貴重な発見を日々、しております。

●で、当然のことですが。 架空畳のことを知らないお客様が、三分の二は客席にいらっしゃるわけです。 ポカンとされたり、なんじゃこりゃ?と思われるかもしれません。 すごく貴重なことです。 我々の表現は、万人向けではないかもしれません。 少なくとも、万人に向けて作ろうとは思っていません。 それを、万人に見せる。 お金を取って見せる。 怖くて、楽しい経験です。 架空畳を観に来て下さった方にも、同じように、他の劇団を観て ポカンとしたり感動したり して下さったら、最高ですね。 世界は存在しない、ただ世界を観る「視点」だけが存在している というのは有名な格言ではなく、今私が作ったデタラメです。 ハハハ。

●で、本日は3日目。 架空畳は14時の回に登場です。 演劇祭は明日までですが、架空畳は一足お先に千秋楽となります。 客席はなんと、超満員!を予定しておりますので ご予約の方は、ちょびっとお早目に来て頂けましたらと思います。 狐火のパレードの準備で謎なテンションの王子で、お待ちしております。 それでは。
(主筆)


MEMO♯066【天使も踏むを恐れるエチカ08】
2019年12月30日

●昨日、14時開演のステージで、架空畳は千秋楽となりました。 会場は、演劇祭始まって以来の超満員となりまして。 その半分が架空畳のお客様という、大変にありがたい状況でした。 会場が暖かったので、他劇団さまの公演のキレもウケも素晴らしかった。 本当に感謝しか出来ませんが。 おいで下さいまして、ありがとう御座いました。

●「天使も踏むを恐れるエチカ」は、2007年末に上演した「BIG HORROR‐大法螺‐」を99%改稿したものです。 たった一つだけのセリフを残して、あとはすべて書き換えました。 私は中学校に入るくらいまで、狂ったようにマンガを読んでいて、それらから得た知識が、今、モノを書く礎となっています。 何かに特別に詳しいということはないのですが、読み漁ったマンガにちょっと書いてあったこと、ディティール、歴史的なお話や人物、化学や天文や音楽や哲学の話題 などが、「もくじ」になって、その後、出会う知識のフックとなっていきました。 その後、急速に活字派へと転向し、マンガはあまり読まなくなってしまいましたが、私のアタマは間違いなく、マンガで出来たものです。 自分の想像できない世界を想像する、そのビジョンを、マンガは教えてくれました。 だから私も、セリフの一つ一つ、そのどれかが、観て下さった方のどこかに引っかかるインデックスになってくれればと思っています。 それが10年後、20年後、あるいは今日、またはあの瞬間、発火するように、呼び覚まされることがあるならば、それだけで この作品を作れて良かったな、と思います。

●直接的なネタあかしではないのですが、2007年当時、この作品を構想した際に 「世田谷一家殺人事件」のことがずっと頭にありました。 事件が起きたのは2000年です。 今回の出演者の中には、事件を殆ど知らない者もいました。 無理もありません。 あの頃、上祖師谷に住んでいた知人がいて、いろいろな話を聞きました。 テレビや新聞も、連日、この話題を取り上げ、様々な憶測・証言・意見が飛び交って、 そしてやがて、忘れられました。 もちろん、私には事件のことは分かりません。 真相など、誰にも分らないでしょう。 けれど、私は、私の想像力の届かない世界で、生きている。 そのことを忘れたくはありません。 20年前の大晦日に起こった出来事を、きっと、忘れることはないでしょう。

●そんなわけで、佐藤辰海演劇祭、楽しいお祭りでした。 この稽古メモもここで終わり、となるはずなのですが…。 ちょっとした、ステキな理由がありまして、1月末くらいに再開になります。 そのワケは、今はちょっとヒミツ。 すぐ近い将来、キチンとお話しますね。 2019年は

神奈川かもめ短編演劇祭「モダン・ラヴァーズ・アドベンチャー」(柿喰う客上演)
架空畳FLIPSIDE#03「カノン、頼むから静かにしてくれ」
佐藤辰海演劇祭「天使も踏むを恐れるエチカ」


と大変楽しい年でした。 カノンは、まったく異なる戯曲を二本書いたので、都合三本の新作を書けました。

●他にも、1月には友人のみくにさんの写真展にて、田村友紀と「天使病」リーディング、 その語改稿して、倉紀子のパフォーマンス用テキストとしても上演。 劇団の別活動として「架空畳LABO」や公式lineも立ち上がり、 私も定期的に劇評を上げるという、傍若無人ぶり。 なんか、13年もやってて、やっと集団が、自分の感覚に近づいた、ような気がします。 2020年もまあ楽しく、ある面ではテキトーに、やっていきたいと思います。 私にとって演劇は祭りではなく、生活です。 せめてちょっとギザギザした、ユニークな生活をお見せしたいと思います。 偉そうな顔もしますけど、本当は小心です。 息を吸って、息を吐く。 その方法だけをいつだって、探しています。 いつも本当にどうも、ありがとう。 来年もまた、劇場で、それ以外の場所で、 約束して、偶然、知らないフリで、待ち合わせて お会いしましょう。 それでは。
(主筆)