Paperback Showcase Vol.04『√3人姉妹』
私たち姉妹は永い間、この家の中でずっと二人きりだった。
ただ、二人でいること。
それ以外には何もなかった。
必要がなかった。
例えば…私たちは二人とも、名前を持ってはいなかった。
朝、目覚める。
目覚めて先に「姉さん」と声をかけられた方が姉。
声をかけた方が妹。
それで良かった。充分だった。
ところが…今朝、困ったことが起きた。
三人目が現れたのだ。
私以外のもう一人、以外にさらに、一人。
私たちには名前が必要になってしまった。
朝、目覚めてリセットされる関係以外、何一つ手にしてはいけない。
そのルールが歪んでしまった、思えばそれが始まりだった。
地上から人がいなくなってしまって随分経つ、らしい。
私はこの家から出たことがないから本当のことは分からない。
とにかく、誰もいなくなったはずの世界から新しい家族がやって来て、私たちは三人姉妹になった。
さて私は、私たちは、明日の朝も目覚めることが出来るだろうか?
そして目覚めた私は…一体、どんな名前で呼ばれるのだろう?
